Princess第48話

 プリキュアの四人が皆の前で正体を明かした話でした。
 そして、これまで何度も絶望の檻に閉じ込められ、少しずつ、それに対する抵抗力をつけてきた七瀬ゆいが、ついに檻を打ち破り、それが闘いに大きな影響を与えた話でもありました。
 さらに、シャットがついにディスピアへの服従を辞めるなど、これまで描いてきた伏線を丁寧に回収した、非常に充実した話でした。

 七瀬ゆいが、ついに自力で絶望の檻をから脱出したのが、今回、もっとも強く印象に残った描写でした。
 彼女は、第1話でクローズに絶望の檻に閉じ込められました。その後さらにロック、さらにはストップ・フリーズにも閉じ込められています。
 しかし、ただの「被害者」ではなく、敵の攻撃に少しずつ抵抗するようになりました。そして、第41話までは自力脱出まであと一歩、というところまで行きました。
 そして今回、ついに自力での脱出を達成したわけです。
 しかも、一緒に閉じ込められていたノーブル学園の面々を、七瀬ゆいの力で解放したのです。それがプリキュアを苦しめていた「再生ロック」から絶望の力を減殺させました。
 今回の戦闘において、プリキュアを勝利に導いたのは七瀬ゆいだった、と言っても過言ではないでしょう。
 彼女が二回目・三回目に抵抗むなしく閉じ込められた時は、「自力で跳ね除けさせてもいいのに…」ともどかしく思ったものでした。
 しかし、それが、この大舞台のための伏線だったと知り、これまでの描写も含め、心底感心させられました。
 そして、春野はるかが、「ありがとう、ゆいちゃん、勇気を貰ったのはこっちだよ」と笑顔でお礼を言う場面、さらにはそれを見た彼女の笑顔も、強く印象に残った名場面でした。

 そして、その会話を見たシャットが、ついに決断します。
 シャットについても、ディスピアに見捨てられて以降、何を考えているのかよく分からない所がありました。
 そのあたりの言動が心の迷いゆえであり、そして自分の行動を決断するきっかけになったのが、この七瀬ゆいの行動と笑顔だった、というのにも感心させられました。
 そして、ディスピアの操り人形になっている「再生ロック」に喝を入れ、彼の本来の意識を呼び覚まします。
 さらに、クローズのプリキュアに対する攻撃を止めます。さらに、殴りかかるロックにカウンターパンチを食らわせて吹っ飛ばすという「熱く拳で語り合う」をやりました。
 続いて、かつての自信満々だった頃のロックを取り戻すよう、話しかけます。
 そして、「私達が落ちぶれている間」と、自分とロックの現状を率直に言います。成長し続けるプリキュア・妖精そして人間たちを比較し、「変わるぞ、我々も!」と言いました。「ディスピアの呪縛から逃れるのみ!」と、ディスピアを呼び捨てにしました。
 そのシャットが促すことにより、プリキュアたちは「再生ロック」を浄化しました。
 この描写も、トワイライトに出会って以降の、シャットの様々な言動とその帰結を、非常にうまくまとめたと感心しました。

 このように、これまでの様々な描写を、最終決戦の直前にきっちりまとめ、そのキャラの見せ場を作っていました。
 また一方で、今回も一条らんこは、その強烈な個性で、おそるべき存在感を出していました。
 皆が変わり、成長していく中、彼女は初登場以来、いい意味で変わらずに活躍しています。
 これもまたすごいと思いました。
 というわけで、戦闘ばかりになりがちな「1月のプリキュア」の中では、特筆ものというくらい、心に残った話になりました。

 次回は、ディスピアがクローズと合体することにより、最終形態となるとのことです。
 そこにおいて、クローズがどのように描かれるのか、気になっています。
 また、七瀬ゆいをはじめ、学園の皆も戦闘で活躍するようです。こちらがどのように描かれるかも楽しみです。